「デンバーオムレツ」 西部開拓時代の息吹を感じるアメリカンフード(産経新聞)
【NYオヤジ流レシピ】
標高1マイル(約1600メートル)の高地に位置するところから「マイルハイ・シティ」と呼ばれるコロラド州デンバーの名を冠した料理がある。その名も「デンバーオムレツ」。ウエスタンオムレツともいう。まだ西部開拓が続いていた1880年代に誕生した名前らしい。
オムレツ、といっても、日本人がイメージするような、外側はフワフワ、中身はトローリという上品なものではない。固焼きの卵の中にハム、玉ねぎ、ピーマン、トマト、野菜がたっぷり入った巨大なオムレツである。
もともと開拓時代の西部では塩漬けした豚肉を薫製にし、ハムやベーコンとして保存食にしていた。それにトウモロコシ、ジャガイモといった先住民(ネーティブ・アメリカン)らから教わった野菜を加え、開拓農民はフロンティア(開拓地)を切り開いていったのである。
西部では酪農、牧畜が今でも盛んであることはご承知の通り。つまり、デンバーオムレツとはそうした西部開拓時代の生活から生まれた、このうえなくアメリカンな一品なのである。
ハム、トマト、玉ねぎ、ピーマンをいためていり卵に加え、パンにはさんだものを「デンバーサンドイッチ(ウエスタンサンドイッチ)」という。その後、このサンドイッチがオムレツとして生まれ変わり、中にチェダーチーズ、マッシュルーム、ポテトなどを加えたものが全米に広がって、朝昼食の卵料理の定番メニューになった。
一般にアメリカの食べ物はまずいという定説、あるいは思い込みがあるようだが、西部のカウボーイになったつもりで、このデンバーオムレツをつつきながらバーボンウイスキーを飲んで一息付くのもいいかも。こうした、大自然の恵みをストレートに生かした西部の片田舎の素朴な料理の中にこそ、古き良き時代のアメリカが残っているのだから。
日本でオムレツといえば、ヨーロッパ流の半熟卵タイプで、半月型に作るのが一般的だ。だがデンバーオムレツは両面フラットに、キッチリ固めに焼く。カウボーイたちがたき火を囲んで作った料理の名残だから、火加減がどうのとか、難しいことはいいっこなしだ。しかも具だくさんでボリュームがある。
米国のファミリー・レストランでは人気メニューで、付け合わせとしてハッシュブラウンポテトかフレンチフライかを選ぶことができ、朝、昼はもちろん、夕食に頼む人も珍しくない。
もうひとつ言えば、付け合わせも、一つの大皿にすべて盛りつけて豪快に出すのが米国流。あるいは、オムレツを焼いたフライパンをそのまま、付け合わせを添えて客の前に出すこともある。乱暴?いやいや、それこそが、米国流のもてなしなのだ。
私の働いているエセックスハウス・ホテルでは、ブランチの際に客の前でシェフがオムレツを作りサービスする。
往年のチャールズ・ブロンソンはニューヨークに来たら、ルームサービスで必ずこのデンバーオムレツをオーダーしていただいた。大スターといえども、カウボーイの気風を失っていなかったのだろう。
ブロンソンさんは2003年に亡くなってしまったが、ニューヨークのど真ん中でデンバーオムレツを頼んでいたブロンソンさんの姿を思い浮かべるたび、私はふと、昔見た懐かしい西部劇の思い出に触れることができるのだ。(加藤孝良)
■デンバーオムレツ
材料(4人分)
卵(溶き卵) 大12個
ハム 80グラム
赤、青ピーマン 各1個(80グラム)
玉ねぎ 1個(40グラム)
トマト 1個(40グラム)
<それぞれ1センチ角切り>
マッシュルーム 20グラム(スライス)
チェダーチーズ (お好みで)大さじ4−5杯
塩、白コショウ、サラダオイル、バター 適量
(付け合わせ用のハッシュブラウンポテト、またはフレンチフライとして)
じゃがいも 大3個
<ハッシュブラウン用には皮をむいてすりおろす。フレンチフライ用には棒状に切る>
(トマトサルサ)
トマト2個(湯むきし種を取る)
玉ねぎ、パセリ、各小さじ1、レモン汁
<市販でもいい>
(作り方)
(1)テフロンパンにサラダオイルを入れ、中火でハムを4分いためる。野菜類を加えて軽くいため、しんなりさせておく。
(2)いためた野菜を4等分し、溶き卵も同じく4等分しておく。
(3)中火に熱したテフロンパンにサラダオイルを入れ、溶き卵と野菜を入れてゴムべらでかき混ぜ、両面キツネ色に焼く。
(4)すりおろしたポテトを電子レンジで25秒温め、テフロンパンでオイル、バターを少量加えてこんがり焼く(ハッシュブラウン)。フレンチフライは油で揚げて味付けする。
(4)トマト、玉ねぎ、レモン汁、パセリにタバスコを2−3滴加え、トマトサルサを作る。
(5)オムレツを皿に盛り、トーストやスライストマト、フレンチフライ、ハッシュブラウンポテトなどを添える。
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オムレツ、といっても、日本人がイメージするような、外側はフワフワ、中身はトローリという上品なものではない。固焼きの卵の中にハム、玉ねぎ、ピーマン、トマト、野菜がたっぷり入った巨大なオムレツである。
もともと開拓時代の西部では塩漬けした豚肉を薫製にし、ハムやベーコンとして保存食にしていた。それにトウモロコシ、ジャガイモといった先住民(ネーティブ・アメリカン)らから教わった野菜を加え、開拓農民はフロンティア(開拓地)を切り開いていったのである。
西部では酪農、牧畜が今でも盛んであることはご承知の通り。つまり、デンバーオムレツとはそうした西部開拓時代の生活から生まれた、このうえなくアメリカンな一品なのである。
ハム、トマト、玉ねぎ、ピーマンをいためていり卵に加え、パンにはさんだものを「デンバーサンドイッチ(ウエスタンサンドイッチ)」という。その後、このサンドイッチがオムレツとして生まれ変わり、中にチェダーチーズ、マッシュルーム、ポテトなどを加えたものが全米に広がって、朝昼食の卵料理の定番メニューになった。
一般にアメリカの食べ物はまずいという定説、あるいは思い込みがあるようだが、西部のカウボーイになったつもりで、このデンバーオムレツをつつきながらバーボンウイスキーを飲んで一息付くのもいいかも。こうした、大自然の恵みをストレートに生かした西部の片田舎の素朴な料理の中にこそ、古き良き時代のアメリカが残っているのだから。
日本でオムレツといえば、ヨーロッパ流の半熟卵タイプで、半月型に作るのが一般的だ。だがデンバーオムレツは両面フラットに、キッチリ固めに焼く。カウボーイたちがたき火を囲んで作った料理の名残だから、火加減がどうのとか、難しいことはいいっこなしだ。しかも具だくさんでボリュームがある。
米国のファミリー・レストランでは人気メニューで、付け合わせとしてハッシュブラウンポテトかフレンチフライかを選ぶことができ、朝、昼はもちろん、夕食に頼む人も珍しくない。
もうひとつ言えば、付け合わせも、一つの大皿にすべて盛りつけて豪快に出すのが米国流。あるいは、オムレツを焼いたフライパンをそのまま、付け合わせを添えて客の前に出すこともある。乱暴?いやいや、それこそが、米国流のもてなしなのだ。
私の働いているエセックスハウス・ホテルでは、ブランチの際に客の前でシェフがオムレツを作りサービスする。
往年のチャールズ・ブロンソンはニューヨークに来たら、ルームサービスで必ずこのデンバーオムレツをオーダーしていただいた。大スターといえども、カウボーイの気風を失っていなかったのだろう。
ブロンソンさんは2003年に亡くなってしまったが、ニューヨークのど真ん中でデンバーオムレツを頼んでいたブロンソンさんの姿を思い浮かべるたび、私はふと、昔見た懐かしい西部劇の思い出に触れることができるのだ。(加藤孝良)
■デンバーオムレツ
材料(4人分)
卵(溶き卵) 大12個
ハム 80グラム
赤、青ピーマン 各1個(80グラム)
玉ねぎ 1個(40グラム)
トマト 1個(40グラム)
<それぞれ1センチ角切り>
マッシュルーム 20グラム(スライス)
チェダーチーズ (お好みで)大さじ4−5杯
塩、白コショウ、サラダオイル、バター 適量
(付け合わせ用のハッシュブラウンポテト、またはフレンチフライとして)
じゃがいも 大3個
<ハッシュブラウン用には皮をむいてすりおろす。フレンチフライ用には棒状に切る>
(トマトサルサ)
トマト2個(湯むきし種を取る)
玉ねぎ、パセリ、各小さじ1、レモン汁
<市販でもいい>
(作り方)
(1)テフロンパンにサラダオイルを入れ、中火でハムを4分いためる。野菜類を加えて軽くいため、しんなりさせておく。
(2)いためた野菜を4等分し、溶き卵も同じく4等分しておく。
(3)中火に熱したテフロンパンにサラダオイルを入れ、溶き卵と野菜を入れてゴムべらでかき混ぜ、両面キツネ色に焼く。
(4)すりおろしたポテトを電子レンジで25秒温め、テフロンパンでオイル、バターを少量加えてこんがり焼く(ハッシュブラウン)。フレンチフライは油で揚げて味付けする。
(4)トマト、玉ねぎ、レモン汁、パセリにタバスコを2−3滴加え、トマトサルサを作る。
(5)オムレツを皿に盛り、トーストやスライストマト、フレンチフライ、ハッシュブラウンポテトなどを添える。
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2010-03-04 18:08
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